♂・29歳 185㎝・90㎏
<器物・Emono>
宅には武芸十八般分の器物あり。好きな武道は矛と昆。現在持ち歩いているものは尖剣(白飛燕)・瓢。
東京開封府の三省のうち尚書省刑部長官、黄達が抱える間者(忍び)であった。黄達の手足となり各地の府県に巡視官として赴き、黄達には全幅の信頼を置いていた。
両親は既に他界し、まだ幼かったところを黄達に養われる。武芸と勉学をその時期に習い、頭角を現した。武芸の師は禁軍師範の王進。…現在でも心服をおいている。そのせいか、影では禁軍の師範代にと推薦する声もあるが、黄達に尽くしたいという精神から、政治の表舞台に出ることを厭い、それを固辞した。
黄達死後、高一族の奸計に合い開封府を追われ、滄州に流刑。その上、高廉によって暗殺者を放たれ、対峙し、死地を逃れる。柴進によって手助けされ、刑城を抜け出し、梁山泊へと赴く。現在は柴進の使命以下にて流浪中。
義直で真面目…時として頑なと思えるほど、自分にも厳しい一面を持つ。流刑以後、愛すべき人々の死と、許し難い裏切りに傷つき、塞ぎ込むようになる。容易に人とは相容れない性格に。寡黙で、その人間性は心奥深くに隠されてしまっている。
<林冲の周囲の人々>
黄達(Outatu)
♂・62歳 156㎝・53㎏
東京開封府、尚書省刑部長官。法律、裁判などを司る部署であるが、鷹揚な性格。林冲にとっては上司でもあり、義父的存在でもあった。折り紙好きで始終創作折り紙を手がけていた。だが、先の事件にて、高廉の手によって暗殺された。
尚徳(Syoutoku)
♂・21歳 163㎝・55㎏
東京開封府、尚書省刑部勤務。黄達の側近見習いとして従事していたが、職務には接していない。気弱な性格で、不安性。その為かやや軽率な言葉が多い。尚徳にとって林冲は精神的に憧れの対象。そのためか、黄達の身を守らんと高廉に刃向かい、非業の死を遂げる。
司馬曾(Shibasou)
♂・36歳 168㎝・60㎏
東京開封府、尚書省刑部勤務。黄達の側近であり副長官。頭脳明晰で黄達をよく補佐した。むしろ実務は彼が握っていた。良くも悪くも感情を表に出すことは少ない。部下からは一目置かれているが…畏れられていた。黄達死後、一旦は刑部長官の座についたが、それは黄達の遺言により、林冲の殺処分を免れさせるため。処刑を取り下げ、林冲を流刑という形で開封府から逃した時点で役目を果たしたとし、黄達の後を追って自害した。
(第一巻が発売されたところで)俺は旅をしている訳だけど、その旅は(作者の一存で)大きく端折られている。…ので、その説明をしておこうと思う。…まあ想像は付くだろうがな… | |
旅行、旅行っっ!!!(ウキウキ)やっぱいいねぇ、狩猟!野営っ!!野宿!っっ!! | |
……ばか。そんなんでこの長い旅路を生きていけるのは、お前ぐらいだよ…っつうか、平気で肉を食うな、肉を(汗)坊主だろうが、少しは戒律を気にしろ。 | |
人間の腹は弥勒よ。俺が生きながらにして悟りを開くって云ったら…食欲と酒欲でだね!(得意気) | |
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(酒欲ってなんだ…:汗)ま、どうしようもなく野営をすることもある訳だが、当時の野営はある意味で命の危険もあった。野生動物は出る、山賊はいる…疫病だってある訳だから迂闊には野宿なんて無理な訳だ。そこで登場するのが「駅」なんだが…まあいわゆる「旅籠」というわけだ。俺達は「牙城」と「駅」を経由して目的地に向かう訳だが… |
「牙城」ってのは門限があるんだよな、門限…(ブツブツ) | |
…お前、どっかの女子高生か?(素) | |
何だ?…ジョシコオセエって…? | |
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(素無視)まあ、このむさ苦しい女子高生が言うように「牙城」(街をくくる城壁)には開城と閉城があって大体、朝6時に開城され、夜も7時頃に閉じられた。盗賊や侵略からの防壁だが…まあ「県」や「府」は国そのものだから守る必要があったんだな。なので夕方から朝までは一切の出入りが禁じられた訳だ。…と云っても、「駅」の方が格段安い賃金で宿泊出来るし、ある程度は開けた道中にあるからまま利用出来る。 |
でもなぁ…「駅」の布団は嫌いだなァ…シラミ貰っても文句言えねぇぞ。それ程綺麗な塩梅でもないしな。時には「駅」自体が妖しげな肉饅頭を…… | |
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まあ、当時の旅は何かにつけて安全ではなかったという訳だ。交通路は張り巡らされていたし、関も設けられていたが、賊が跋扈している時代だ……智深が云うとおり、野宿の方が安全な場合もあるだろうな。 |
でも「駅」のあの自炊ってのも…なかなか楽しいんだよな!…そこらの出店で食材買って… | |
宿泊施設と云っても様々だからな。食事付きで泊まれるところもあれば、自炊のところもあるし…素泊まりもある。中にはいかがわしい店もあるし…… | |
目開けたら、隣にマッパの女が寝てました!!…なぁーんてな!(笑)そんで、暴利な宿代取られンだよなぁ… | |
体験してきたような口ぶりだな…(汗) | |
まあ、俺にも色々ある訳よ…(素) | |
イヤ、だからお前は坊主…(滝汗) | |
(素無視)でも環境もやばくて野宿は出来ない、「駅も」ないって時は、(今回みたいに)村の名主の家や個人の自宅に宿を借りることもあったんだな。まあ、なんていうか…旅人をわざわざ招く富豪もいる訳だし。 | |
あまり常用はしたくないがな…迷惑だし。…特にお前とは(素) | |
まかせとけ!寝食豪勢なモンを期待しろよ!!(腕振り) | |
だからヤメロって……!!!(滝汗) |
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…そもそも政府機関ってどういう働きをしていたんだ?まあ、そのご時世ごとに政治のことを知り尽くしている人間なんてそうはいねぇと思うし、大半は俺みたいに「何となーく」生きてるんだろうけどよ…? |
まあ確かに、その通りだな。俺は役人だからある程度は把握しているけど…やっぱり他の機関のことになると詳しいことまでは解らないよ。 | |
でもそこは強引に説明しろ!分かりやすくな! | |
無理難題云うなよなぁ……(汗) | |
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まあ、気を取り直して説明していこうか。基本的に宋代の中国は「三省六部体制」なんだよ。つまり「三省」と「六部」に別れて文書行政(現在の管理職に相当)を担ってる訳だ。そして更にその下には「九寺五監十六衛」がある。ここは実務担当だ。つまりは「三省六部」で取り決められたことを「九寺五監十六衛」が命令を受けて動いている。そして更に「御史台」と云うところもあって、これは官人を監視する検察官達だ。更には「枢密院」と呼ばれる禁軍・廂軍を取り仕切る軍政。そしてそれらは「宰相」という………(うんたらかんたら) |
ばか、わかんねぇよ(素) | |
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(バカはお前だ)…つまりだなァ、現代のこの国(日本)に(強引に)置き換えるとだ…「三省六部」は総理大臣を含む内閣僚、「九寺五監十六衛」は内閣僚が率いる「省」って感じかな。それとは別に宋代の国家では「御史台」があって、公平を保つ為にそれらを監視していた。ま、この奸佞が跋扈する世界での「御史台」は国会議事堂の便所の片隅でカリカリになった芳香剤ぐらいの役割だろうが……、同時に皇帝直属、別腹扱いの「後官」(宦官グループ)とかもあったり。これはどっちかって云うと江戸時代の「大奥」みたいな存在かな…。ともかく代々続いた権力なんかも相まって、政治に横槍刺す部署は点在していた訳だ…ま、後半は余談だけどな。後、この時代は軍事国家だから、軍隊がいるのは当たり前…それを担うのが「枢密院」だ。それに「宰相」はいわば「国会」だ。「三省六部」から選出された「宰相官」達は「宰相」で会議を設け、取り決められたことを皇帝にご意見陳列するってシステムなんだな。 |
……? | |
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(素無視)「三省」は「中書省」「門下省」「尚書省」……「六部」は「吏」「戸」「礼」「刑」「兵」「工」だ。「中書省」は代行詔勅立案、「門下省」はその詔勅をチェックし、是非を決める。官人等の意見陳述を皇帝に拝する役割もある。「尚書省」は「門下省」を通過した詔勅を実行に移す。実質、「尚書省」が「六部」の統括を行っている訳だ。 「六部」に関しては「吏」は人事。「戸」は財政。「礼」は祭祀。「刑」は司法。「兵」は国防。「工」は土木業務…大まかにこんな具合に分類されていた。
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解った解った。政府機関てのは昔も今も解りにくーいものだってことだな! | |
…まあ、そうだな…(お前に説明するのが間違ってるな) | |
ふーん、でも他にも役所ってのは点在していたんだろ?北宋は広いんだからよ…そうじゃねぇと、他府州県も含む全民に法律が行き渡らねぇもんなぁ? | |
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うん、そうだ。上のは首都、開封府に置かれた「中央政府」であって、地方の府州県(行政区画)にもそれに習った機関が置かれていたんだ。小型の立法制度が各府州県ごとにあったという訳だな。現在の「県庁」みたいなものだろう。現在の中国でもそうだが統治国家であるから、行政区画はある程度分けられてそれぞれに自治をしていた。そしてそれらの元締めが中央政府=皇帝だったわけだ。 |
ナルホドな~。でもそんなコトしてたら力を持った府とか州とかは反目したりしねぇのか?俺が府の知府(一番えらい人)だったら絶対反目するぜ! | |
…つくづく、お前がタダの暢気な坊主で良かったと思うよ。…そうならないように「中央政府」は地方に役人を派遣して、管理職を置いていたんだぞ。 | |
…それ聞いただけで、悪辣な臭いがするよなァ…その臭いを感じるのは俺だけか? | |
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……。(まあ確かに、地方衛門の癒着と汚職の臭いがする)でも、それがないように人事移動ももちろんあった訳だぞ。ともかく、地方役所の事や各々の職種についてはまた別口で説明するとしようぜ、(お前の5%くらいしか活動していない脳では)ややこしくなってくるだろう? |
(素無視)ま、そんな蓋してもクセぇ臭いが漏れてくる話はおいといて。…ところでお前は東京開封府の役人だよな、林冲?お前はつまりなんて云うお役目で、どういう肩書きがあるんだ? | |
現在のところ、俺は「三省六部」内の「刑部(ぎょうぶ)」、つまり現在の「法務省」でそこの長官である黄達尚書の「間者」と云うことになってる。 | |
…どーも、アバウトな職種だな…(素) | |
じゃ、智深…お前はなんて言う肩書きなんだよ。 | |
えーと、「大相国寺・菜園番」……。 | |
お前も物凄くアバウトだよな…(溜息) |