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…そもそも政府機関ってどういう働きをしていたんだ?まあ、そのご時世ごとに政治のことを知り尽くしている人間なんてそうはいねぇと思うし、大半は俺みたいに「何となーく」生きてるんだろうけどよ…? |
まあ確かに、その通りだな。俺は役人だからある程度は把握しているけど…やっぱり他の機関のことになると詳しいことまでは解らないよ。 | |
でもそこは強引に説明しろ!分かりやすくな! | |
無理難題云うなよなぁ……(汗) | |
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まあ、気を取り直して説明していこうか。基本的に宋代の中国は「三省六部体制」なんだよ。つまり「三省」と「六部」に別れて文書行政(現在の管理職に相当)を担ってる訳だ。そして更にその下には「九寺五監十六衛」がある。ここは実務担当だ。つまりは「三省六部」で取り決められたことを「九寺五監十六衛」が命令を受けて動いている。そして更に「御史台」と云うところもあって、これは官人を監視する検察官達だ。更には「枢密院」と呼ばれる禁軍・廂軍を取り仕切る軍政。そしてそれらは「宰相」という………(うんたらかんたら) |
ばか、わかんねぇよ(素) | |
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(バカはお前だ)…つまりだなァ、現代のこの国(日本)に(強引に)置き換えるとだ…「三省六部」は総理大臣を含む内閣僚、「九寺五監十六衛」は内閣僚が率いる「省」って感じかな。それとは別に宋代の国家では「御史台」があって、公平を保つ為にそれらを監視していた。ま、この奸佞が跋扈する世界での「御史台」は国会議事堂の便所の片隅でカリカリになった芳香剤ぐらいの役割だろうが……、同時に皇帝直属、別腹扱いの「後官」(宦官グループ)とかもあったり。これはどっちかって云うと江戸時代の「大奥」みたいな存在かな…。ともかく代々続いた権力なんかも相まって、政治に横槍刺す部署は点在していた訳だ…ま、後半は余談だけどな。後、この時代は軍事国家だから、軍隊がいるのは当たり前…それを担うのが「枢密院」だ。それに「宰相」はいわば「国会」だ。「三省六部」から選出された「宰相官」達は「宰相」で会議を設け、取り決められたことを皇帝にご意見陳列するってシステムなんだな。 |
……? | |
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(素無視)「三省」は「中書省」「門下省」「尚書省」……「六部」は「吏」「戸」「礼」「刑」「兵」「工」だ。「中書省」は代行詔勅立案、「門下省」はその詔勅をチェックし、是非を決める。官人等の意見陳述を皇帝に拝する役割もある。「尚書省」は「門下省」を通過した詔勅を実行に移す。実質、「尚書省」が「六部」の統括を行っている訳だ。 「六部」に関しては「吏」は人事。「戸」は財政。「礼」は祭祀。「刑」は司法。「兵」は国防。「工」は土木業務…大まかにこんな具合に分類されていた。
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解った解った。政府機関てのは昔も今も解りにくーいものだってことだな! | |
…まあ、そうだな…(お前に説明するのが間違ってるな) | |
ふーん、でも他にも役所ってのは点在していたんだろ?北宋は広いんだからよ…そうじゃねぇと、他府州県も含む全民に法律が行き渡らねぇもんなぁ? | |
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うん、そうだ。上のは首都、開封府に置かれた「中央政府」であって、地方の府州県(行政区画)にもそれに習った機関が置かれていたんだ。小型の立法制度が各府州県ごとにあったという訳だな。現在の「県庁」みたいなものだろう。現在の中国でもそうだが統治国家であるから、行政区画はある程度分けられてそれぞれに自治をしていた。そしてそれらの元締めが中央政府=皇帝だったわけだ。 |
ナルホドな~。でもそんなコトしてたら力を持った府とか州とかは反目したりしねぇのか?俺が府の知府(一番えらい人)だったら絶対反目するぜ! | |
…つくづく、お前がタダの暢気な坊主で良かったと思うよ。…そうならないように「中央政府」は地方に役人を派遣して、管理職を置いていたんだぞ。 | |
…それ聞いただけで、悪辣な臭いがするよなァ…その臭いを感じるのは俺だけか? | |
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……。(まあ確かに、地方衛門の癒着と汚職の臭いがする)でも、それがないように人事移動ももちろんあった訳だぞ。ともかく、地方役所の事や各々の職種についてはまた別口で説明するとしようぜ、(お前の5%くらいしか活動していない脳では)ややこしくなってくるだろう? |
(素無視)ま、そんな蓋してもクセぇ臭いが漏れてくる話はおいといて。…ところでお前は東京開封府の役人だよな、林冲?お前はつまりなんて云うお役目で、どういう肩書きがあるんだ? | |
現在のところ、俺は「三省六部」内の「刑部(ぎょうぶ)」、つまり現在の「法務省」でそこの長官である黄達尚書の「間者」と云うことになってる。 | |
…どーも、アバウトな職種だな…(素) | |
じゃ、智深…お前はなんて言う肩書きなんだよ。 | |
えーと、「大相国寺・菜園番」……。 | |
お前も物凄くアバウトだよな…(溜息) |